山内小学校学校図書館環境整備相談・ボランティア活動相談

山内小学校は、6年前教室確保のため2教室分あった図書室が半分に縮小されました。図書室に入りきらない本は、廊下やパソコン室の棚に置かれたため、本の管理が困難な状況になりました。図書室が縮小された時点でそれまで活発だった図書ボランティアも解散することになったとのことです。
この状況を何とかしたいと、2010年4月PTA役員を務めた一人の保護者の発案で図書整備ボランティアをPTAが募集し、活動が再開されました。
保護者約60名が登録し、本の整理に取り掛かることになりましたが、学校の様々な場所に散在している本をどのように整理するかが大きな課題となっていました。  山内図書館は、学校連携担当者が2010年6月に山内小学校を訪問した折にその状況を知りました。その後、7月に学校図書館を再訪して図書主任の先生と面談し、支援に入ることになりました。夏休み中に先生と学校図書館の整備の方針を決めて、9月から図書整備ボランティアさんの協力を得て本格的な環境整備に取り組むことになりました。

山内小学校図書館の状況

一教室分しかない図書室には棚の数が少なく、大きなスチールキャビネットが壁面を占領しており、収蔵できる本は4000冊程度でした。校舎は児童の増加に合わせて増築され、A棟、B棟、C棟に分かれており、それぞれ学年の教室の近くに本を置くスペースがありましたが、教材置き場と本棚の区別がつけにくい状態でした。また、パソコン室の中の本棚には、歴史や地理、工業や産業の本が置かれていました。
そのため、図書室の中だけの整理ではなく、学校全体に散在している本を把握し、それぞれの本が置かれる場所がわかるようにしなければなりませんでした。

  • ・スチールキャビネットが壁を占領していて本棚が足りない。。
  • ・ビスがなくなって壊れたままの本棚。

2010年8月~9月

1.図書主任の先生と図書室の環境整備方針を決定

(1)入口横にある掃除用具入れをカウンターの後ろに移動させるなど、レイアウトを若干変更する。
(2)請求ラベルは、角丸3段ラベル(10色)で統一する。
(3)請求ラベルの分類記号表記の確認。
  ※NDC2桁分類を基本に、48(動物)と91(日本文学)を3桁分類とする。
  ※図書記号はカタカナ表記に統一する。
(4)図書室以外の本の置き場所と、置き場所に合わせた別置シールの名称を決める
  1. 図書室に置く本:0・1・2(伝記)・3・4・7・8・9類の本と絵本(1部)
      ⇒ 請求ラベルだけを貼っている本
  2. パソコン室に置く本:2(歴史・地理)・5・6類の本
      ⇒ 請求ラベル上部にパソコン室シールを貼る
  3. 1・2年生の教室そばの廊下の本棚(低学年絵本コーナー)に置く本:主に絵本
      ⇒ Eラベルと内容別色シール
        (「ちしき」「し・ことば」「むかしばなし」「ものがたり(日本)」「ものがたり(外国)」)を貼る
  4. C棟校舎共有スペースに置く本:主に読み物の本 ⇒ 「C棟」シールを貼る
  5. 6年生教室の廊下の棚に置く本:主に学習漫画と読み物の本 ⇒ 「6年」シールを貼る
  6. 各教室に学級文庫として置く本:主に読み物の複本 ⇒ 「1-1」「1-2」などシールを貼る
   ※これらの別置シールは図書主任の先生がパソコンで作成、カラー印刷して準備された。

 

・入口近くの掃除用具のロッカーを移動しただけで雰囲気が変わります。

2.校内全ての本の確認と仕分け夏休みの終わりに、図書室以外の場所に置かれていた校内の全ての本を一旦図書室に集めてもらい、それをボランティアさんと置き場所に合わせて仕分けしました。
(1)教室にある本は学年別に所定の机の上に集めてもらい、ボランティアさんと仕分ける。
  1. 請求ラベルの付いている本は分類番号順に並べ、書架に配架する。
  2. 請求ラベルの付いていない本をまとめる。
  3. 寄贈図書シールが貼ってある本で状態の良い本は配架装備のためまとめておく。
  4. 修理すれば使える本は別にまとめておく。
  5. 明らかに変色していたり、傷みのひどい本は廃棄本として分ける。
  6. 絵本は内容によって「ちしき」「し・ことば」「むかしばなし」「ものがたり(日本・外国)」に分ける。
  7. 絵本と読み物は、複本3冊目からは学級文庫用に別にまとめておく。

  ※図書室に集められた本の中からは、教諭や児童の個人所有本が大量に出てきたので、
   個人への返却作業なども同時に行い、迷子の本は、状態によって「蔵書」あるいは「学級文庫」として
   活用することになった。
3.仕分けした本に請求ラベル、別置シールを貼付
4.本の配架

請求ラベル・別置シールの貼付が終わったものから、所定の場所に本が並べられました。

★書架不足の対策として、技術員さんが窓下書架の上に置くボックス型の本棚を机の廃材で作製!また、棚板を留めるビスがなくなって使えなくなっている本棚も修理してくださった。

  • ・パソコン室には、主に5類と6類の本
  • ・低学年教室そばの「ちしきの絵本コーナー」。絵本には、内容別にシールが貼られている。
  • ・技術員さんが学習机をリサイクルして作成した本箱!窓際においても本が日焼けしません。
★9月末までには、何とか本が整理され、それぞれ本を見れば置き場所が分かる状態にできて、図書室利用が再開された。図書主任の先生は早速、本の校内配置図を全職員に配付して、本の活用を呼びかけられた。

2010年10月~現在

学校図書館の本の配架が一区切りしてからは、図書ボランティアの組織が学年別にグループ分けされ、整理を担当する書架が割り当てられました。グループ毎に活動日や当番を決め日常活動が続けられる中、月1回全員での作業日を設け、参加できる人が本の修理など、さらなる図書室環境整備活動を進めることになりました。山内図書館学校連携担当者は、全員での作業日に訪問し、本の分類相談や書架見出し表示作成相談に応じたり、訪問修理講習会の講師として支援に入っています。
1.廃棄図書の表紙をリサイクルして差し込み式の書架見出し表示板を作成

百科事典など、やや大型の廃棄図書の表紙の厚紙を取っておいて活用。調べものの本(0~8類)の表示板は緑で、文学(9類)の表示板はピンクに統一して作成。

  • ・廃棄図書の表紙を棚のサイズに合わせてカットし(大きさによってはそのまま使うこともできる)色紙でくるむ。
  • ・文学の書架には作者名の頭文字がわかるような表示を作って差し込んだ。
2.書架整理、本のコーティング、本の修理の実習講習

山内図書館の学校連携担当者が訪問して講習を行ったあとは、各グループが自主的に活動している。図書館主催の講座やボランティア相談日に定期的に参加し、楽しくスキルアップしているメンバーも少なくない。

  • ・山内図書館学校連携担当による訪問修理講習会(糸綴じ絵本の修理実習)
  • ・背表紙が傷んだ本の修理。製本テープを使ってテプラやパソコンで作った背文字を貼りコーティングすると本が蘇る。
  • ・廃棄になった国語辞典を2冊くるんで作ったブックエンド。安定感がありメッセージを表示することもできる。(山内図書館副館長のアイデアを早速実行!)

★おまけ うれしいニュース

図書主任教諭や図書ボランティアさん達の熱心な働きは、学校全体の図書室への関心を高めたのではないでしょうか。なかなか実現しなかった書架の増設が2011年度には実現しました!壁を占拠しているスチールキャビネットのひとつが移動され、その後に書架が一台設置されました。そのために、パソコン室に置かれていた、歴史、地理の本をすべて図書室に収蔵できるようになりました。

谷本中学校学校図書館リニューアル

2011年11月

図書室の本の配架と書架のレイアウトについて図書担当教諭から相談を受けました。当校では、2011年夏から保護者ボランティアと先生・生徒が協力して、学校図書室のリニューアルが始まったとのことでした。夏休み前の3日間で、図書館内の本を一旦全部廊下に出し、図書室の大掃除を行いながら本を棚に戻す作業を行ったとのことでした。しかし、作業を進めるにあたり、本の分類の仕方、全体の書架レイアウト、廃棄本の選定や配架がうまく進まず、生徒が本を探せなくて困っている状態でした。そこで、山内図書館は、図書館担当の3人の先生方とお話して、その後の図書室リニューアルの支援に入ることになりました。作業は主に図書ボランティアさんや図書委員さんの協力を得ていっしょにすすめ、図書ボランティアの自立的な活動に必要な講習も行うことになりました。

1.図書室の現状と主な問題点の確認
・カウンター横の両面置き高層書架2連がスペースを分断し圧迫感がある。
・不要になった目録カードケースや家具がスペースを塞いでいる。
・1年に一度だけ限定的に使われている本が書架を塞いでいる。
・県や市の議会史などの資料が書架のスペースを塞いでいる。
・ひとつの出入り口が高層書架で塞がれている。など
2.図書室リニューアルでの主な作業と改善点
・廃棄図書の選定、活用方法の検討
・高層書架の移動⇒カウンター横の書架と扉を塞いでいる書架をまとめて、カウンターと反対側に高層書架を3列にして設置する。
・カウンターまわりに低層書架を集めて、新着本やテーマ別の本を置くことにする。
・木製の目録カードケースなど不要になったものは、図書室から移動・処分する。
・議会史や、教室で使う辞典類は、共有スペースの空いているキャビネットに収納する。
・学年分ある複本教材は、棚からはずし、ブックコンテナに入れて、図書室のキャビネットに収納する。
・雑誌架を社会科見学や修学旅行関係など複本が多い資料の収納に活用する。
・文庫本には、請求ラベルがなく[B]ラベルのみなので、請求ラベルを作成・貼付し書架整理ができるようにする。
3.リニューアルにともなう、山内図書館のボランティア活動相談と訪問講習
山内図書館学校連携担当者が月1~2回訪問し次のような活動相談・支援を行いました。 
・請求ラベル作成について
・廃棄本の表紙を利用した差し込み式見出し板の作成について
・配架のルールと書架整理についての講習
・本のコーティング講習
・本の修理講習(基本編)

▼変更前

  • ・カウンター側からの全景。奥には、低層書架と文庫本用回転棚がある。
  • ・高層書架(両面置き2列)がカウンター横のスペースを分断している。

▼変更後

  • ・低層書架を移動して文庫本回転書架の向こう側に高層書架を3列配置。
    机の配置も変更。
  • ・高層書架移動後、低層書架を設置。
    カウンターの向きも90度変更し、図書室全体が見渡せるようになった。
  • ・廃棄図書の表紙をリサイクルして作成した、差し込み式の書架見出し表示。
  • ・雑誌架を社会科見学、修学旅行関係の副本の多い本の収納場所として活用。

★購入に伴う蔵書の増加や利用頻度の推移による配架の変更など、現在も図書室環境整備はボランティアの方々と進行中です。